ついに、というか、とうとう、年金振込通知書が届いた。
といっても、65歳になる前に支給される「特別支給の老齢厚生年金」というものなのだが、老齢年金であることに変わりない。人生第4コーナーが見えてきたということだ。
特別支給というのは、2000年に老齢厚生年金の支給開始が60歳から65歳に引き上げられたことの経過措置で、ぼくはその措置が適用される最後の年に当たるようだ。なので、年金をもらえるのは1年間ポッキリ。その後に継続して65歳から受給するのか繰り下げ受給をするのかは改めて意思決定しないといけない。
【何歳から受給すべきなのか】
年金は75歳を上限として繰下げ受給することができ、1年繰り下げるごとに受給額が8.4%増加する。逆に60歳を下限として繰上げ受給することもでき、その場合は1年繰上げるごとに受給額は4.8%減少する。
このルールを踏まえて、ネットの記事やyoutubeなどで「損益分岐点」は何歳なのかという話をよく目にする。もちろん人によって寿命は違うのだから唯一無二の結論があるわけではなく、寿命をX歳と仮定すると、Y歳から受給するのがお得」というような話だ。損益の「益」とは死ぬまでに受給する総額ということのようだ。
ところがこの議論は大半の人にとっては意味がない。実際、年金の繰下げ受給を選択している人は僅か1%強しかいない(2021年統計)ようなのだ。要するに多くの人は65歳で定年を迎えたら、その後の収入ゼロ状態を回避するために、損得計算無しで受給開始せざるを得ないということなのだと思う。社会的なトレンドとしては定年は延長傾向にあり、それを踏まえて年金の在職定時改定という制度もあるのだが、それらが適用される人はまだまだ少数ということなのだろう。
ただ、ぼくの場合は小さいながらも会社を運営しているので定年という概念が無く、「何歳から受給すべきか」を考える価値はある。しかし、上記の「お得」というのが「死ぬまでに受給する総額」で計算しているということにちょっと違和感がある。65歳から普通に受給した場合の総支給額に比べて、繰上げ・繰下げした場合の総支給額が上回るのは何歳からの受給開始か、というような計算だ。また、これまでに支払ってきた年金総額に対しての損か得かという計算もあるようだ。
・・・しかし、ぼくにとってもそんな計算もほとんど意味をなさないような気がする。受給した年金をすべて貯蓄して、死後は遺産として残したいという生活ができるかたであれば、総支給額で判断するのが妥当かもしれないが、年金を当てにしているぼくのような人は、総支給額ではなく、毎月毎年の受給額のほうがはるかに重要だ。
言い換えると、毎年100万円ずつ20年受給(総額2千万)して亡くなるよりも、たとえ5年で亡くなったとしても毎年300万円受給(総額1500万)できたほうが人生楽しいはず、という観点。
なので、単純に考えると「働ける限り働いて、年金受給は遅ければ遅いほど良い(年間受給額が増える)」ということになるのだが、コトはそう簡単ではない。いくら定年が無いからといって、健康寿命(男性で73歳くらいらしい)に達するまで働いてしまうとどうなるか。せっかく年金が増えても「使う機会や気力体力が無い」という、本末転倒な事態になってしまう。
なので、年金収入と年金外収入を併せた「引退後年収」にメドが立った時点で、できる限り「早く」受給するほうが人生楽しいはず、というのがぼくの結論。
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あと、ネットでもう1つよく見かけるのが「引退後は非課税世帯になるのがお得。そのためには年金をZ歳『まで』に受給すべき」という話。たしかに非課税世帯になれば国からのボーナス的なものもあったり、そもそも非課税なので色々有利なのは確かなので、「年収が非課税世帯の基準より1万円だけ超えてしまって悔しい思いをする」くらいであれば意識していたほうが良いかもしれない。
しかし「非課税世帯を目指す」というのはあまりにも後ろ向きな人生だと思うのだ。ぼくが自営業だからそう思うのかもしれないが、引退後も稼ぐ機会があればどんどん稼いだほうが脳も活性化するし、人生楽しいはず。
なので結論その2。できる限り早く年金受給して、稼げる機会があればしっかり稼ぐ。以上。